最終更新:2010年10月6日 JAPANESE / ENGLISH
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皮質脳波を利用したブレイン・マシン・インターフェースの研究開発
1..概要
 近年の技術発展に伴い,脳波による機器制御を目指す Brain Machine Interface(BMI)の研究開発が盛んとなっています.これまでのBMI研究は,安全性・利便性を理由として,頭皮脳波など非侵襲型を主軸とした研究開発が行われてきていますが,代表的な頭皮脳波(EEG)では,皮膚・頭蓋骨から伝わる微弱な電気信号の計測となるため,多くのノイズが含まれ,ヒトの意図を推定することが非常に困難となっています.
 それに対し,近年,医療技術である皮質脳波計測が注目されています.皮質脳波計測は,難治性疼痛・難知性てんかんを有する患者の治療・検査を行う場合のみ認めれる医療技術であり,頭蓋内の脳表面に留置された電極から計測される電気信号は皮質脳波(ECOG)と呼ばれます.この計測方式は,脳自体を傷つけない低侵襲計測であるため安全とされており,頭皮脳波よりもノイズも少ないため,情報処理により高い識別精度でのヒトの意図推定が可能であることが示唆されています.
 このような理由から,患者の機能再建を実現可能なアプローチと認識されはじめており,早急な皮質脳波BMIの研究開発が進められています.

2.従来研究の問題点&課題
 近年アメリカにて針電極(剣山のよう形状した多電極型)を用いたBMI研究開発も行われており,サルの脳波によりロボットアームを三次元動作させるに成功しています.しかしながら,針電極は毎日のチューニングが難しいことと,2−3ヶ月後には針電極そのものが生体内の組織(肉芽)に被われてしまい計測が困難になるという問題点をかかえているとのことです.また,それに対して頭皮脳波は,現状P300などに注目が集まっていますが,10秒間でキーボードを1文字を入力する性能となっています.現状の皮質脳波においても,電極から得られる情報を高めるために,「電極のサイズや電極間距離を小さくする」などの電極の改善や,ヒトの皮質脳波計測は有線であるために2週間を基準としているため,体内埋め込み型計測装置を実現し長期的安定な皮質脳波計測の実現,ヒトの意図推定の精度を高めるための情報処理アルゴリズムの研究開発など課題は多く残っている.
 そのような理由から,「皮質脳波から2次元動作を抽出する情報解析」「長期に安定な計測を実現する体内埋め込み型の計測装置の開発」を行っている.

表 代表的な電気的脳波計測に基づくBMIの比較
電極種類 電極位置 電気信号名 安全性 情報分解能 制御性 計測安定性
皿電極 頭皮上 頭皮脳波
(EEG)
非侵襲 低分解能 一次元動作
(G・TEC社)

(毎日)
円形電極 脳表面上 皮質脳波
(ECOG)
低侵襲 中分解能 二次元動作
(Albert-Ludwigs-University)

(約2週間)
針電極 脳に刺込 スパイク波 侵襲 高分解能 三次元動作
(University of Pittsburgh)
×
(2-3ヶ月)
3.体内埋込型ワイヤレス皮質脳波計測装置の開発
 体内埋め込み型ワイヤレス皮質脳波計測装置の概念図(下図)を示す.本装置は,電極,脳波計測装置,非接触給電装置,無線通信装置,制御装置の構成からなる体内埋め込み装置となる.多数の学術機関の研究者・企業と協力し研究開発を行っている.
4.リンク
大阪大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学講座
文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラム (脳プロ)